北陸新幹線大阪延伸ルート問題点から整備新幹線を考える

昨年12月20日政府与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームは、北陸新幹線の敦賀以西への延伸ルートとしていわゆる「小浜京都ルート」を決定した。

同時に京都~新大阪間のルート決定は年度内に先送りされたため、議論が大詰めに迎えていると予想される。

 

①ルート選択をめぐって敦賀~京都間はこれで良いのか

小浜京都ルートは、所要時間が最短であることを理由に選択されたと言われている。

京都府などが主張した小浜~舞鶴~京都ルートは所要時間と工費が大きいことがネックとなった。

また距離が最短で建設費の予想額も少ない米原ルートは、米原乗換えが必要で結果的に所要時間も最大になることが問題とされた。

 

しかし決定されたルートでは小浜~京都間の大半が山間部となり、建築費と工期の増大は避けられない。

又このルートは豊かな自然が成る京都北山とそれにつづく南丹市美山町を横断する。

 

「かやぶきの里」として知られる山里の景観と○うしが近年多くの人々を惹きつけ、山林部の地域活性化事例として注目されている。

地域で長期間大規模な工事が行われることによる地域社会と生態系への影響が懸念される。

もちろん、どんな計画でも環境への悪影響は不可避であるが、コストや環境への影響が相対的に少ない米原ルートや全線立体交差で

現行でも160㎞運転が可能な湖西線の利用可能性なども考えれば、今日の決定が十分に合理的な選択であったかどうか疑問が大きい。

 

また米原ルートで乗り換えが必要になるのは東海道新幹線のダイヤ過密を理由にJR東海が乗り入れに難色を示したためである。

しかし、例えば東京から名古屋止まりの「こだま」が毎時1本であることからすれば乗り入れが本当にまったく無理なのだろうか。

しかもリニア中央新幹線全線開業後は東海道新幹線の運行本数削減が決定されている。

与党はリニア推進の立場なのだから、この矛盾はもっと考慮されてよかったはずである。

 

②並行在来線の経営分離はしてよいのか、湖西線は並行在来線か

小浜~京都ルートが選ばれたことで、湖西線が並行在来線になるかどうかが注目されている。

並行在来線とは整備新幹線の開業に従ってJRから経営分離する路線のことで、

1990年と1996年の政府申し合わせによって、沿線地方公共団体とJRの合意を得て確定される事になっている。

 

今日決定されたルートは小浜線とは確かに並かに並行しているが、湖西線とは遠く離れている。

しかしJR西日本は昨年は12月時点でも、これまで同様、湖西線につて「白紙」としており北陸新幹線延伸開業時に

大阪~北陸間の特急が廃止されば「旅客輸送量が著しく低下」するとして経営分離を主張するのではないかと

滋賀県では懸念されている。

 

滋賀県の三日月大造知事は並行在来線の経営分離は認められないと滋賀県も連合も要望している

JR湖西線などが分離されないよう連携を呼び掛けた。