株主優待のための基礎用語〜PERとPBRで見つける割安株

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株主優待を目当てに株式投資を始めてみたけれど、もう少しステップアップしてみたいという皆様に、株式投資をより効率よくおこなうために知っておきたい、基礎用語を紹介してみようと思います。

1.PERとは

投資の世界では先人達がいわゆる「投資尺度」と呼ばれる様々な指標を作り出してくれています。そのうちの代表的なもののひとつがPERと呼ばれるものです。

 

上場企業は期ごとに業績を発表します。それによって1株当たりどれだけの利益が出ているかを割り出すことができます。これを「EPS(1株当たり純利益)」と言います。
 
この「EPS(1株当たり純利益)」で現在の株価を割った数字が「PER(株価収益率)」です。だいたいは20から50くらいの数字になります。「X年後の利益まで見越した数字」と考えると良いでしょう。
 
もっと簡単にいえばPERが20であれば「この会社は、20年はいけるだろう」と読み替えるとわかりやすいです。そう、PERは会社の賞味期限予測値みたいなものです。
 
PERが50なら「この会社の賞味期限は、50年はいくだろう」と市場で判断されているわけです。大雑把な言い方になりますが、こう考えるとイメージしやすいかと思います。
 
ところが、大変将来有望そうな会社なのに「PERが10を下回る」なんてことになっていたら、「この会社10年持たんやろ」と市場では判断されていることになります。
 
この場合、本当に会社に著しい問題があるなどということもありますが、一方で市場参加者がその会社の価値に気づいていないなんてこともあるわけです。そうなればこれこそ「割安株の発見」です。この場合は「買い」ですね。
 
また時にはPERが100以上などのちょっと恐いレベルになっている会社もあります。この場合は「今は小さいけれど将来的にはすごい会社になるはずだ」と市場で判断されているというわけです。
 
この判断が正しければよいのですが、中には「過剰な期待」を浴びせられていて、会社の実力以上に株価が上がってしまっているという場合もあります。手を出すには慎重な判断が必要です。
 
例えば、ミドリムシの培養や生産商品化で知られる「ユーグレナ(2931)」のPERは2016年11月現在で150倍ほどになっています。「賞味期限150年の企業として判断されているのかー」と読み替えると良いでしょう。
 
確かに、奇跡の栄養食品となるとも言われるミドリムシの大量生産に成功した企業ですから、人類全体の期待を背負っているのもわかります。評価が正当なのか、過剰なのかは、今後のユーグレナの業績に着目していくしかありませんね。
 
ちなみにユーグレナの株主優待は「自社商品の割引クーポン」です。興味のある方はチェックしてみてください。ただし2016年現在、配当はありません。

2.PBRとは

さてPERとともに用いられる「投資尺度」には、「PBR(株価純資産倍率)」というものがあります。これは1株当たりの純資産で現在の株価を割ったもので、その会社の持っている財産がどの程度かを見るものです。PERが今後の稼ぎを推し量るものだったのに対して、PBRは手持ちの資産の値踏みをする感じです。
 
このPBRは1倍を基準にして株価が割安か割高を判断します。1倍を上回る状態が正常で、下回っていれば割安です。どういうことでしょうか。
 
株主になるということはその企業のオーナーになることですから、こういう具体例で考えるとわかりやすいでしょう。
 
あなたが小さなお店をまるごと買ってオーナーになるとします。そのお店の持っている土地や設備や現金を足した単純な資産の値段が1000万だったとしても、お店の価値ってそれだけではないですよね。その店の持つ技術、ブランド力や顧客など、も含めてお店の価値です。
 
ですからあなたはそれを見込んで1500万でその店の所有権を買ってオーナーになった。この状態がPBR1.5倍と考えると良いです。
 
単純な資産部分だけでなく「会社としての価値を評価されている状態」が、PBR1倍以上の状態です。
 
逆に本来は単純な資産だけで既に1000万円の価値のある店を、幸運にも半分の価格500万円で手に入れられてしまう。その他に、そのお店の持つ技術やブランド力や顧客という価値もあるというのに。こういう場合が、PBR 0.5倍の世界です。
 
この場合は会社の価値がしっかりと評価されていない割安銘柄である可能性があると同時に、「先行きがヤバそうだ」と市場に警戒されている銘柄である可能性もあります。
 
例えば2016年11月現在「三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)」のPBRは0.47倍です。天下のメガバンクの株価が異常な安値になっているわけです。
 
日銀のマイナス金利政策による収益悪化などを懸念してのことですが、さすがにこれは下げ過ぎだと私個人は思っています。
 
ちなみに三菱UFJの株主優待はピーターラビットのタオルなどです。優待をもらいつつ、将来の上昇をじっくり待つという投資戦略もありかもしれません。

3.数値による判断

株主優待という現物支給はなかなか楽しいものですが、それに加えてPERやPBRをチェックすることでより投資効率の良い銘柄を見つけていくことができます。
 
優待を金額に換算して「優待利回り」を出すというのも、ある種、面白い方法ではあるのですが、基本的な投資指標であるPERやPBRをチェックするのはもっと大事なことだと私は思っています。
  
以上、基本的な投資指標であるPERとPBRについて噛み砕いて説明してみました。こういった数値的な指標もうまく使うことで、皆さんが充実の株主優待ライフを満喫してくださることを願っています。