-熱帯夜をどう凌ぐか-
日本の夏を生きる上で避けられない課題だと思う。エアコンをタイマーでセットして寝る、扇風機をつける、窓を開ける、全裸で寝る。エアコンをつけるときは、よほどの浪費家でない限り窓を閉め切っているから、タイマーが切れると密室化して電子レンジ状態になる。切れたエアコンを無意識にもう一度つけてしまう。電気代のことも加味して、扇風機や自然風で涼みを得たいけど、やはりエアコンの快適さを知ってしまっているからなかなか気が乗らない。全裸に限っては、そもそも裸で寝ることに抵抗を持つ人が多いだろうし、一見涼しそうに思えるけど実際には全裸で寝たほうが暑く感じるという説もある。
僕は暑くて眠れない熱帯夜には、ドビュッシーを聴くと決めた。ドビュッシーのピアノのための前奏曲。もちろんベートーヴェンのソナタで寝ようとしたときもあったし、ブラームスの渋い旋律に満足したこともあった。この夏の間にもバッハの完全で無駄のない音階に浮気するかもしれない。でも少なくともここ最近は(少なくともこの2週間は)ドビュッシーを聴けば涼しい気分になれてぐっすり眠れている。
-なぜドビュッシーを聴くと涼しくなれるのか-
ドビュッシーの前奏曲(バッハの平均律もそう)を聴くとなぜか宇宙を想像してしまう。自分が宇宙空間に漂流している空想が容易にできてしまう。僕は幼い時から、眠れないときには宇宙のことをよく考えていた。宇宙のことを考えると、こんな僕が眠れないことなんかちっぽけなことに思えてきて、逆に寝つきがよくなる。日々膨張して無限の空間がある宇宙から見て、僕が明日学校に寝坊して先生や親に怒られることなんてどうでもいい!今もその名残からか、ドビュッシーを聴きながら宇宙空間を旅していることを考えると、日々の煩い-色黒なこと、顔が濃いこと…-なんかどうでもよくなってぐっすり眠れる。「宇宙=ものすごく寒い」という昔からの個人的レッテルのせいで、宇宙について考えると涼しくなれるし一石二鳥だ。
今思えば、幼いときからのそんな科学的空想が僕の向学心の土台となっている。最近僕はインターステラーという映画を2回劇場で観た。インターステラー(interstellar)とは「恒星間航行」という意味だ。この映画はそんなに遠くない未来(パラレルワールドとも解釈できる)、地球に人類が住めなくなってしまい、人類が移住できる星を探しに行くという物語だ。この映画のキーワードはただ一つで、「重力」。この映画を見た後、重力について色々本を読んだりして調べたけど、どうやら重力に関してはまだまだ分かっていないことが多いらしい。僕らが毎日一番影響を受けている力なのに!逆に言うと、重力について解明されればそれは人類の進化の第一歩かもしれない!
眠れない夜にはドビュッシーを聴きながら宇宙のことに思いを馳せ、涼しさを感じてぐっすりと。こんな省エネ方法があってもいい。
大栗博司(2012)『重力とは何か-アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る-』幻冬舎新書
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