株主優待のための基礎用語〜配当性向と配当利回り


優待だけでなく、配当も株式投資においては重要な要素となります。今回は配当に関する用語「配当性向」と「配当利回り」について解説します。

1.配当性向とは

「配当性向」という言葉が使われることがあります。

 

これはいったいどういう意味でしょうか、順を追って説明します。
 
例えば、以前に紹介した「株主優待で洋菓子のもらえる銘柄」として知られる「アイ・ケイ・ケイ(2198)」の2016年10月期の「売上高」は179億1100万でした。
 
売上高」というのは「会社が商品やサービスを売って顧客から得た代金」です。
 
その「売上高」から「売上原価=原材料費や仕入費用、生産部門の人件費など」と「販売費=宣伝費や営業部門の人件費など」と「一般管理費=管理部門の人件費やオフィスの費用など」を引いて残った利益が「営業利益」です。
 

売上高−(売上原価+販売費+一般管理費)=営業利益

 
「アイ・ケイ・ケイ」の2016年10月期の「営業利益」は21億7600万でした。
 
この「営業利益」から銀行への利子などを引いたり、資産運用などの本業以外での収入などを加えたりして出すのが「経常利益」です。
 
「アイ・ケイ・ケイ」の2016年10月期の「経常利益」は21億6600万でした。
 
さてこの「経常利益」からその年にかかった土地売却による損益を加減したり、法人税などを引いたりしたものが「最終利益(純利益)」です。
 
「アイ・ケイ・ケイ」の2016年10月期の「最終利益(純利益)」は13億4100万でした。
 
急に金額が激しく減りましたが、これは大部分が「法人税」の影響です。日本の法人税は外国に比べて高いということもよく言われていますね。
 
さてこの「最終利益(純利益)」の使い道は大きく分けてふたつあります。
 
ひとつは「内部留保」です。会社内に残されていくわけです。
 
そして、もうひとつの使い道が株主への分配です。これが「配当」ですね。
 
この「最終利益(純利益)」のうち、どれくらいの金額を株主への配当に向けているかの割合を示す数値が「配当性向」です。
 
「アイ・ケイ・ケイ」の2016年10月期の「配当性向」は26.3%でした。
 
下記の記事に「日本の上場企業の配当性向は平均で3割弱で、欧米企業より低いとされる。」とあるように、日本の企業の配当性向の低さはしばしば問題とされます。
 

配当性向 日本は欧米企業より低く
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO85868270Z10C15A4NN1000/

 
ちなみに「株主優待」に企業側がかけるコストは、下記の記事によれば「割引タイプでは『売上控除』にするとか、現物タイプでは棚卸資産の減少に相当する金額が『販売費』にするなどの方法で計上されることが多い」とのことです。
 

株主優待 -販売費計上でも実施するわけ
http://president.jp/articles/-/2401

2.配当利回りとは

さて会社の売り上げから、株主配当に至るまでの流れをとらえた上で、ここからは株主目線でいきましょう。
 
私のような個人投資家が株を買う際のひとつの指標にする数値が「配当利回り」です。
 
1株あたりの配当金を株価で割ることで算出します。ここで使う配当金は過去の数値ではなく、予想配当を使います。
 
たとえば先程の「アイ・ケイ・ケイ」の2017年6月後半の株価は810円ほどです。
 
予想配当は1株あたり12円ですので、「12÷810×100」で「配当利回り」は1.48%となります。
 
ちなみに世の中には「1株あたりの優待品の金額を株価で割る」ことで「優待利回り」などという数値を出す動きもあります。
 

優待利回り:全期間 | ランキング | 会社四季報オンライン
http://shikiho.jp/tk/ranking/yutai/yield/all/quarter

 
「アイ・ケイ・ケイ」は100株保有で1,500円分の洋菓子がゲットできます。
 
1株あたりだと15円ですね。これを株価810円で割るわけです。
 
「15÷810×100」で「優待利回り」は1.855%となります。このような数値にどれだけ意味があるかわかりませんが。

3.配当か優待か

2017年5月15日に「三菱UFJフィナンシャルG(8306)」は優待の廃止を発表しました。
 

株主優待制度廃止に関するお知らせ
http://www.mufg.jp/stock/benefit/topic/
>2016年9月30日時点の当社株主名簿に100株以上保有と記載された株主さまへの提供をもちまして廃止といたします。

 
加えて「利益成長を通じた1株当たり配当金の安定的、持続的な増加をめざす」という方針も示し、合わせて「配当金の増配」も発表しました。
 
実は投資家の中には「優待品よりも配当を増やして欲しい」と考える人もいます。
 
優待品のワクワク感も捨て難いですが、一方で確実な現金収入というのも魅力的です。
 
新たに優待を開始する銘柄がある一方で、「三菱UFJフィナンシャルG」のように優待を廃止する銘柄が今後出て来るかもしれません。
 
私も「三菱UFJフィナンシャルG」の優待は長年もらって来ましたがこれで終了なのですね。
 
ちなみに「アイ・ケイ・ケイ」の洋菓子もしっかりもらいましたよ。
 
食感、味ともに満足度の極めて高い洋菓子。ごちそうさまでした!
 

 
以上、今回は「配当性向」と「配当利回り」について解説しました。皆様の充実の株主優待ライフのヒントとなれば幸いです。