自販機部門の船木です。
あけましておめでとうございます。早いもんですねえ。今年もまた年が明けてしまいました。また歳をとったなあなんておっしゃる方もいらっしゃいますが、ホント人生あっという間なのかもしれません。「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也」の序文で始まったのは、確か松尾芭蕉の『おくのほそ道』だったと思います。そう言えば、国鉄が終わって今のJRになって今年でもう30周年を迎えますし、月日が流れるのはホントに早いものです。
昨年のノーベル文学賞
そう言えば、毎年10月にはノーベル賞の各賞を誰が獲るかなどと話題になりますが、特に最近は文学賞が注目され、今度こそ村上春樹が獲るのでは、と毎回ニュースでは取り上げられていましたね。結局、昨年のノーベル文学賞はシンガー・ソングライターのボブ・ディランでした。「え!?ボブ・ディランって、文学者だっけ?ミュージシャンじゃなかったっけ?」と思われた方も多かったのではないでしょうか。以前は哲学者など文学者以外の受賞者もいましたが、1953年の政治家のチャーチルを最後にしばらく文学者以外の受賞者途絶えていました。今回のボブ・ディランは、詩を評価されてのことだと聞きますが、そうは言っても、シンガー・ソングライターとしては初の受賞者です。考えてみれば、一般に文学と芸術は一緒に括って「文芸」として扱われることも多いので、そうすると実は単なる感覚の違いだけで、音楽における詩が文学だと評価されても、さほど意外でもないのかもしれませんね。
芸術って何?
ところで、改めて「芸術」って何だろうかってよく思います。一般には、詩や小説・物語などのように、言語を使った狭義の文芸を言語芸術、絵画・彫刻・工芸などを造形芸術、音楽を音響芸術、演劇・ダンスなどを舞台芸術、映画・アニメーションなどを映像芸術と呼びます。それほど展覧会にも行かず、芸術というものをよく知らなかった小中高生の頃は、美術の教科書に載っているような絵画や彫刻など単純に美を追求するようなものを芸術と呼ぶのだと考えていましたし、その時代その時代の芸術がある種の思想的背景を持つなどとは夢にも思っていませんでした。フォーヴィズム・キュビズム・シュールレアリスムなどといった現代芸術の先駆け的な運動における作品群は、思想的な背景を抜きにしては、なかなか作品の深みみたいなものを味わうことは難しいかもしれません。
オリジナリティを破壊するもの
芸術に限らないかもしれませんが、昔はものづくりには独創性(オリジナリティ)が大事だと言われたことがありましたが、今のネット時代、文章でも写真でもあっという間に世界中にコピーされ、ダウンロードされて、分配できますし、切り貼りしてくっつければ、簡単にコラボ作品も作れますし、何が「オリジナル」かなんて判で押したようには容易には言えない時代になってきているのではないでしょうか。
かつて、普通の男子用小便器に「R. Mutt」という署名をし、『泉』というタイトルを付けた、フランスの芸術家マルセル・デュシャンの1917年の作品は、芸術を冒涜しているとまで言われました。『泉』を始めとするレディメイド(既製品)に限らず、大体デュシャンの作品は、前衛的志向が強くて、作品自体が既存の「芸術」というもののフレームをはみ出し、その境界を問うているようなものが多いように感じます。
デュシャンが亡くなった1968年から約50年経った今のネット時代では、東京オリンピックのエンブレムが問題になったように、簡単に他の人の作品でもコピー&ペーストして適当にいじくればそれらしい作品が作れる時代になってしまいましたから、なおさらオリジナリティというものを追求するのが容易でない時代に突入したとも言えます。
ルーヴルNo.9
さて、ここからが本題ですが、そんな2017年早々関西で何かユニークな展覧会をしていないだろうかと探してみますと、「ルーヴル美術館特別展『ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~』」というものが、グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボで、昨年2016年12月1日(木)から2017年1月29日(日)まで開催されています。これは、昨年2016年7月22日から9月25日まで東京・森アーツセンターギャラリーにて開催されたもので、この後、2017年4月15日(土)~5月28日(日)には福岡、2017年7月15日(土)~ 9月3日(日)には名古屋と巡回していくようです。
ところで、この「ルーヴルNo.9」というのはどういう意味かと言いますと、芸術を愛するフランスでは、芸術を7つ以上の序数をつけており、大体、
第1:建築
第2:彫刻
第3:絵画
第4:音楽
第5:文学・詩
第6:演劇、もしくは、写真
第7:映画
第8:メディア芸術(要するに、テレビ)
とされており、第9として、フランスで「バンド・デシネ」と呼ばれている「漫画」が芸術として認められたということです(なお、どの序数に何を割り当てるかは諸説あるようです)。この展覧会には、日本の有名な漫画家がたくさん参加していますから、とても興味深いです。
ルーヴル美術館特別展『ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~』
というわけで、滋賀県からグランフロント大阪にお出かけになる方は、土・日・祝日は時間帯に関係なく使える、京都から大阪までのJR昼特切符が便利です。是非お近くのチケットライフの店舗にて格安のチケットをお求めください。各店のスタッフ一同、みなさんのご利用をお待ちしております。